薔薇ノ血潮

貴方は多くのつながりを求めた。
多くを助けたかったか、はたまた只の気まぐれか、
真意は別として毒がたっぷり浸み込んだ
鮮血の如き赤の名刺を集めた。
指先から染み込んだ毒は五臓六腑に行き渡り、
貴方の身体を内側から、
余すところなく腐らせていく…はずだった。
貴方は過剰に毒を吸収するなかで
「耐性」を身に着けた。
そして毒は貴方をより強くした。

Q.貴方は記憶にある探し人に逢えましたか?

はい

こうして助かった貴方だったが、
折角逢えた探し人には何も告げずに去った。
表社会では生きていけない身体になってしまったが、
この裏稼業では武器となる。
妙な縁が結ばれた貴方の探し人を
今後は陰ながら見守ることにした。
手元に残った赤い名刺の持ち主たちは
どうなっただろうか?
自分と同じように生きているのだろうか?
探してみるのもいいかもしれない。
また新たな探しものが始まった。

貴方は選定で生存し、
そして探し人に出会えました。
おめでとうございます。

「アンタみたいな馬鹿は好きだよ、ウチに来るか?」

「毒塗れじゃないの、私と同じね」

「生き残っちゃったんだね!やるやん。」

いいえ

こうして助かった貴方だったが、
探し人には会えなかった。
この身体になった今では
それが正しいことのように思える。
どの道これが運命だったのだ。
表社会では生きていけない身体になってしまったが、
この裏稼業では武器となる。
淡々と送る日々のなかでいつか逢えたら、
そのときは。
そんなことを想いながら
喧噪に消えゆく貴方の背中を見つめる者が1人。
「あの人はもしかして…」

貴方は選定に生存しましたが、
探し人には出会えなかったようです。
どこかで逢えたらいいですね。

「アンタみたいな馬鹿は好きだよ、ウチに来るか?」

「毒塗れじゃないの、私と同じね」

「生き残っちゃったんだね!やるやん。」

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