蒼き因果

貴方が夢中で集めた青い名刺は
命を守る抗生剤の
一雫(ひとしずく)で覆われている。
貴方がこれを集めすぎたせいで
薬は充分に行き渡らない。
周りを見渡せば血を吐き、
地に伏せのたうち回った者も大勢いるのだが、
なに、気にすることはない。
貴方には関係のない話だ。
勝利の雄たけびをあげようと
深く呼吸をすると・・・突然視界が蒼く染まる。
貴方は過剰に薬を接種し
「アレルギー」と「副作用」を生じさせた。
意識が遠のいていく…

Q.貴方は記憶にある探し人に逢えましたか?

はい

意識が遠のく中聞こえた
「ありがとう」の声。
それは何の因果か自らが探した人の声。
そのありがとうが何を意味するのかを理解して、
意識が、遠ざかる。
手元から3枚の青い名刺が滑り落ちたが
視界はそれを捉えてはいない。

貴方はこの選定で失敗しましたが、
探し人には結果的に会えたようです。
ファミリアのボスに好かれていれば
奴隷としての人生が待っているでしょうし、
そうでないならば…

「はは!青ざめた顔に似合の色だね」

「アナタみたいな強欲な愚か者が一番愛おしいわぁ!」

「これ、生きてんの死んでんの?…欲張りだなぁ」

いいえ

意識が遠のく中聞こえた
銃声、怒声、高笑い、悲鳴。
それぞれの結末が
遠ざかる意識の横を過ぎ去っていく。
3枚の名刺が手元を離れていくが
そんなことはどうでもいい。
期待したものは得られなかったが、
それもどうでもいい。
生きることは
緩やかに死んでいくことだと悟った。
意識が、遠ざかる。

貴方はこの選定で失敗し、
探し人にも出会えなかったようです。
でもそれもひとつの正解かもしれません。
こんな惨状を見たら。

「はは!青ざめた顔に似合の色だね」

「アナタみたいな強欲な愚か者が一番愛おしいわぁ!」

「これ、生きてんの死んでんの?…欲張りだなぁ」

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